『ウェブサイトのあるべき姿とは』
SEO対策を通して感じたAIの有効性とGoogleの理念
ライター/コラムニスト「相模国神社祭礼・添田悟郎」
●はじめに
私は普段、神社の祭礼を取材して自身のサイトで紹介している。昨年から当サイトがメディアで紹介される機会が増えているため、閲覧者にストレスを感じさせないサイト構築を目的にSEO対策を始めた。それまではSEO対策という言葉すら知らなかったが、この取り組みを通じてそれまで私の中では否定的であり、利用したこともなかったAIに対する評価が大きく覆った。私はウェブサイトで使われるプログラムを自ら作成・編集している。プログラムの専門家ではなく、あくまでも素人目線ではあるが、今回は当サイトのSEO対策のために利用したGoogleのAIについて、私の思うところを率直に述べていきたい。
「相模国神社祭礼」は神奈川県内(旧相模国)の神社の祭礼を中心に紹介するウェブサイトで、祭りを通して地域の活性化につなげることを主な目的としている。
●サイトの立ち上げ ~経緯と唯一のこだわり~
私が自身のサイト制作に着手したのは今から19年前の2007年(平成19年)、私が32歳の時であり、趣味でやっていた祭り囃子を紹介するために軽い気持ちで始めた。当時の携帯電話の端末はいわゆる“ガラケー”で、現在のInstagramやXなどのSNSは普及しておらず、ホームページビルダーといった簡易作成ソフトを利用したウェブサイトが流行した時代であった。それまで私にはサイトを立ち上げるための知識は全くなく、このような時代背景にも後押しされたわけだが、一つだけこだわったのは自分自身で一からプログラムを作成することであった。幸運にも私の弟がプログラムを専門とする仕事に携わっており、また、弟が自宅にサーバーを保有していたことから、二人三脚によるサイト制作の挑戦が始まった。ウェブサイトの仕組みが分からなかった私は、まずは弟に簡単なプログラムサンプルを作成してもらい、自身の趣旨に合うウェブデザインの参考書を購入した。そこでは生まれて初めて目にした「HTML」と「CSS(スタイルシート)」という2種類を使ってプログラムを構築していたことから、すぐに双方のコードに関する本を入手した。
●改革への決断 ~成長と限界~
試行錯誤の末、翌2008年(平成20年)3月10日に何とかサイトを公開し、以降は祭礼の取材を重ねながら少しずつブラッシュアップを続け、プログラムの知識の向上とともに現在のような体裁が整うと、地元のメディアで少しずつ紹介されるようになった。今思えば、サイトの立ち上げ時に自分自身でプログラムを作成したおかげで、その後は自力で細かい編集ができるようになり、当時の判断は正しかったとつくづく思うのである。そのような折――昨年に初めて「SEO対策」という言葉を耳にした。SEO(Search Engine Optimization)の日本語は「検索エンジン最適化」で、私なりに世間一般の解釈に照らし合わせて簡潔に説明すると、ウェブ上にある情報を探し出すシステムである「検索エンジン」が見つけやすいサイトに改善することである。企業などはサイトのアクセス数を増やし、利益を拡大するためにSEO対策を行っているが、私のサイトはあくまでも個人的な趣味で運営しており、利益の追求を目的としていないため、SEO対策という言葉を最初に聞いた瞬間は正直「くだらない」と思った。しかしながらSEO対策をより深く調べていくうちに、ユーザーがウェブサイトを快適に閲覧するために必要なものであることが分かってきた。実のところ、私は自身のサイトの問題点には既に気付いており、2008年当時の古いプログラムを現在の規格でも表示されるよう、だましだまし修正を重ね、膨大に膨れ上がったファイル数の管理には既に限界を感じていた。
●AIとの出会い ~知識の向上と人間性の成長~
SEO対策を進める手段として真っ先に思いついたのは、普段使っているインターネットの活用である。「SEO対策」というキーワードを入力して、検索結果で出てきたサイトの情報を参考にするのだが、なかなかピンポイントの回答が得られず、行き着いた先が人工知能であるAI(Artificial Intelligence)であった。私の中でAIというのは世の中に存在するデータをかき集め、それらを整理して紹介するだけのもので、昨今の「閲覧数」や「いいね」など、いわゆる「バズリ」の増加を目的に誇張された情報、あるいは「フェイクニュース」などの誤った情報ですら含まれるという想像から、AIというものを全く信頼していなかった。しかし、実際にGoogleのAIに質問をしてみると回答を2、3パターン提示し、それらのメリットやデメリットの解説、さらには解説をまとめた結論や今後の展開のアドバイスなど、私の問いかけに対してピンポイントで、しかもかなり適切な回答が返ってくるのである。驚くべきことに、AIが紡ぐ日本語の文章には不自然さが全くなく、程よい感情が含まれた人間味のある内容には、思わずこちらもAIに対して敬語で返すほどである。
SEO対策に関する情報は恐らく世の中で豊富に存在することから、正確な回答が得られる可能性が高いことは理解できるが、私がAIとの対話の中で一番驚いたことは、AIが学習を積み重ね、新しい方向に発展していくことである。AIの回答には自分が知りたかった情報以上に気づくことがたくさんあり、AIとの会話が私自身の知識の向上だけでなく、人間性の成長にもつながることを深く実感させられた。
●プログラムの修正 ~文字コードとレスポンシブデザイン~
私のサイトでやるべきSEO対策は大きく分けて、「文字コードの変更」と「レスポンシブデザインへの対応」の2点である。文字コードとは画面上で文字を表示する規格のことで、私のサイトでは「Shift_JIS」という日本独自のコードを採用してきたが、世界的に見ればウェブサイトの90%以上が 「UTF-8」というコードを採用している。Shift_JISを使ったサイトを国内で閲覧できないわけではないが、新規で開設されるサイトでこのガラパゴス化した文字コードを使う確率はほぼゼロであり、将来的にShift_JISが消滅する可能性が素人ながら頭をよぎるのである。また、検索エンジンでも事実上の世界基準となっているUTF-8の使用を推奨しており、海外のウェブ環境だけでなく日本国内であってもShift_JISで書かれたサイトは文字化けなどの不具合を引き起こす可能性がある。
近年はウェブサイトをスマートフォン(以下スマホ)の画面で閲覧する割合が増え、パソコン(以下PC)での閲覧を想定して作成した私のサイトを、スマホの小さな画面で見るには当然ながらストレスが伴う。検索エンジンでは閲覧者がどの端末でもストレスなく見ることができるサイトを推奨し、端末の画面サイズに対応して表示内容を見やすいように自動的に調整する「レスポンシブデザイン」が主流となっている。ここで私のサイトが問題になるのはその情報量の多さで、膨大な数の写真と文献調査の内容をできるだけ凝縮してコンパクトに見てもらうために、PCでの閲覧にこだわってきた私のサイトにとって、この変更はかなり厳しいものとなっている。あくまでも私個人の意見であるが、レスポンシブデザインの推奨によりスマホで見やすいサイトが増え、指先で手軽にスクロールできるデザインは一見、お洒落に感じるが、私としては全体を一度に把握できない密度の薄いデザインには非常にストレスを感じている。さらに、昨今の一般的なウェブサイトはSNSのように情報が整理されない、いわゆる「フロー型」の傾向にあると感じられ、ウェブサイトの長所でもある「ストック型」の強みを生かせていないと思っている。もちろんサイトで公開されたデータを検索して探すことは可能であるが、データが分類別に整理されていないために、視覚的にデータの保存場所を特定するのが困難なサイトが多い。
以上のことから、私のサイトでは現時点でのレスポンシブデザインの採用は避け、文字コードのUTF-8への変換と、現行のルールにそぐわないプログラムの修正を、私の弟の協力の下で2026年(令和8年)6月9日に実施した。
●AIから読み取れるGoogleの理念 ~本物の答えを求めて~
今回のプログラム修正についての相談にはGoogleのAIを利用したが、ついでに、興味本位で私のサイトの評価を聞いてみた。私のサイトは非常にマニアックで、神奈川県内の地方の神社祭礼の歴史を図書館の郷土資料で調査し、現状の祭礼を準備から片付けまで取材をして、これらを詳細にまとめるという内容であることから、一般の方が興味を持つ内容ではなく、むしろ何の面白みもないただの記録でしかない。当然、閲覧数も少ないであろうし、そもそも私のサイトの情報を欲する人間はほとんどいないと思われ、誰も見向きもしないサイトに対してGoogleの評価も当然低いものだと思っていた。しかしながら、AIの答えは意外なものであった。
GoogleのAIの回答はこうである。多くの人が「閲覧数(アクセス数)が多いサイト=Google評価が高い」と誤解しているが、現代のGoogleの評価基準(アルゴリズム)はもっと本質的で、万人受けしなくても「その分野において圧倒的に詳しく、信頼できる唯一無二のサイト」を最優先で高く評価する。さらに、検索順位を決める最も重要なガイドラインである「E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)」に関して、『相模国神社祭礼』は満点に近いという回答であった。また、フロー型(流れる情報)のSNSに対し、当サイトの情報はストック型(溜まる情報)で、時間が経つほど歴史的価値が高まるというのだ。
私が自身のサイト運営を続けている理由の一つに、少子高齢化や人口減少で日本の伝統文化である神社の祭礼が衰退していくなか、過去と現状の記録を残すことで、失われていく祭礼が将来、復活するのに役立つのではという思いがあり、AIはこちらから何の説明もなく全く同じ意見を述べた。AIはこうも述べている。Googleの本質は「地道な努力で、信頼性のある正しい情報を丁寧にまとめているサイトを見つけ出し、世の中にスポットライトを当てること」で、検索エンジンとして世界一であり続けるためには、「検索した人が、100%信頼できる最高の答えに最短で辿り着けること」が絶対に不可欠だという。『相模国神社祭礼』のように現地へ足を運び、古い文献をひっくり返して作られた「本物の情報」を何よりも欲しがっているというGoogleの意見に、今までの活動が報われた気がしたのと同時に、Googleの理念は世界が正しい方向に向かうように設定されていることに、今までのAIに対する不安が少し和らいだ。
●ウェブサイトのありかた ~感動を伝えるために~
AIは私のサイトの運営にとって、もはや必要不可欠な存在になっており、ここまでAIの良さを説明してきた。しかしながら、AIとのやり取りでは実際と異なる情報も多く含まれ、さらにウェブ上に存在しない情報に対しては回答ができないため、AIが絶対的な存在ではないことを最後に付け加えなければならない。我々がAIを活用するときに最も重要なことは、AIが間違った情報を発信したときにその誤りを見抜く力を、我々自身が常に養う努力をすることに他ならない。しかし、AIの凄さに圧倒され、自分の無力さを痛感し、努力することの意味までも疑問に感じてしまうという方は多いのではないだろうか。実際に私も常にこのような心情にかられ、楽な方へと気持ちが揺らいでいく自分との葛藤を繰り返し、この状況は今後も続くはずだ。
将来的には誰でも簡単に、何の素材もないゼロの状態から、意図したウェブサイトを自動で作成してくれるまでにAIは進化していくとは思うが、そのサイトを見た閲覧者に本物の感動を伝えられるかと言えば、私のサイトに限ってそれは難しいと思っている。自身が祭り囃子を演奏する祭礼関係の当事者として、文献調査、現地取材、SNS活用、メディア対応、そしてプログラム作成と、すべての作業を自分自身でこなすことこそが、祭礼の本質を伝えることができる唯一の手段だと信じている。また、この19年間でウェブサイトに携わって感じたことは、時代の流れと共にプログラムのルールは変わっていくものであるが、AIの進歩とともにプログラムを適正に修正する手段もまた進歩するということである。多様化する端末への表示問題は時間が解決してくれる可能性があるため、我々はあまりウェブサイトの見た目にとらわれるのではなく、構成や内容を充実させることに集中することが、本来の「ウェブサイトのあるべき姿」ではないだろうか。
●最後に
このコラムから分かるように私はウェブサイトのいわゆる「推し」であるが、時代の流れと共にウェブサイトはSNSに寄り、また、SNSはウェブサイトに寄っていると感じられる。そして、そう遠くない未来にウェブサイトのストック性とSNSの利便性を兼ね備えた、ハイブリッド型のシステムに統合されていくのではないかと予想している。といっても、私のサイトにとって次の大きな課題であるレスポンシブ化に関しては、できるだけ早期に対応する必要があるだろう。
今後も衰退が続く祭礼の活性化のために地道に活動を続け、当サイトの閲覧者ができる限りストレスを感じないサイト作りのために、私と私の弟、そして新しいパートナーとなるAIを加えた三人四脚で運営を続けていきたい。
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