還幸祭かんこうさい(おのぼり)

還幸祭(8月29日)

  本祭典の翌29日は還幸祭(通称「オノボリ」)が実施され、午前中に行在所で祭典が執行、午後に神輿が行在所を出発すると下社まで上って還御となる。ここでは平成22年(2010年)8月29日に行われた還幸祭の様子を紹介する。



還幸祭執行 (開始10:00、終了10:45)

  10時に社務局のテントのところへ神官と年番町役員が集まり、祭主が忌竹の祭場へおもむいて禊の儀を行う。

この日も朝から打ち水参列者は身を清める
テント下に集まり10時に太鼓が叩かれる
還幸祭が始まり最初に修祓
神職や参列者をお祓い
宮司を先頭にテントを出発一行は右折して行在所へ向かう
行在所前まで来ると右折して祭場へ

  10時05分頃に全員が行在所へ移動し、まず祭主による神輿閉扉の儀があり、続いて献饌の儀が行われる。神饌は御神酒・鏡餅(紅白)・海魚(鰹)・海産物・野菜・果実・菓子・監水の順に供えられる。その後は祭主の祝詞奏上があり、宗務会代表と年番町役員の玉串奉奠が行われる。

祭場内に着席し初めにサンジャ挨拶
席を立って宮司による一拝
宮司が祭壇へ上がり神輿を開扉
神職2人が祭壇へ上がり供物を置く台を並べる
奥から供物を運び出しここからは献饌
供物を手渡しで祭壇へ運んでいく
神輿前まで来ると台の上に供物を供える
次々と供えられる供物献饌が終わり
宮司による祝詞奏上行在所に年番町が姿を見せる
ここからは玉串奉奠最初に宮司以下サンイ
最後に年番町の拝礼く
神職が一列に並び撤饌
神輿前の供物を手渡しで
順々に下げていく
式典中に賽銭を入れ手を合せる参拝客

  神饌を下げる撤饌の儀が終わると、10時40分頃に全員行在所を退出して再びテントのところへ集まる。最後に年番長代表者などの挨拶があって、10時45分に終了する。

宮司が祭壇に上がり閉扉引き続き宮司による一拝
サンジャが挨拶すると宮司を先頭に祭場をお発ち
外に出ると宮司には傘をさす
行在所を出ると左折境内を直進してテント前で左折
テント下に入ると宮司の挨拶
最後に年番町が挨拶をし還幸祭が滞りなく終了
年番町は事務所へ戻りおのぼりへ向けて打ち合わせ
神職らは社務所へ向かう労いの言葉を掛ける宮司


神幸行列準備(10:45〜13:00)

  還幸祭の祭典が終わると、行在所では直ちに後片付けが始り、神幸行列の準備が進められていく。

式典が終わると祭壇から旗や扇などを移動
神輿の両脇に人が付き持ち上げる
馬を準備し階段を下りる神輿
馬の上に神輿を下ろし輿棒を固定
祭場では式典の後片付け植木を移動
一方、境内ではテントを折りたたみ
忌竹の祭場を撤去していく
山王中の生徒が到着し祭具舎で白丁の衣装を着る
神輿では輿棒に手綱を通す白丁が着替えを済ませ
阿夫利睦の会長が挨拶打合せを終え行在所へ向かう
行在所前に着くと各自旗や
その他の道具を手に取り一箇所に集まる
行在所前で整列し白丁の記念撮影

  12時45分に仕度太鼓が叩かれると、社務局広場に神幸行列の関係者が集まる。行列は長いため先頭から順次社務所境内を出発し、神幸行列を形成していく。

支度太鼓が叩かれる事務所前に舞女が集まる
祭具舎からは神社の高張提灯
行在所前で白丁の撮影が続く境内に集まる関係者達
社務所から神職が姿を見せる白丁はメンバーを入れ替えて撮影
行列の先頭が境内を出て右側に進む
こちらは提灯部隊行列順に名前が呼ばれ
担当者が次々と境内を出発こちらは触れ太鼓
通路側が埋まると出口側の坂に並ぶ
扇を持った白丁や舞女が続く
坂が一杯になると行列は境内に続く
最後尾は旗を持った白丁祭場では輿丁8人が記念撮影
奥では宮司が待機神幸行列の準備が整う


社務局(出発13:00)→小行在所(到着13:20)

  神幸行列は13時に社務局を出発し、行列の順番はオクダリのときとほぼ同じで、社務局を出た行列は福永町を通って愛宕橋を渡り開山町へと進む。13時20分頃に開山町の小行在所(おおすみ旅館前の駐車場)に着座して祭典を執り行う。昭和63年(1988年)のように稲荷町が年番のときにはオクダリに稲荷町、オノボリは開山町で神輿が止まるが、開山町が年番のときはオクダリに開山町、オノボリは稲荷町に止まることになる。

触れ太鼓と柏木の合図で行列が出発
輿丁が神輿の周りに集まる私は社務局を出発し
金棒を追い越し最前列へ移動神職が道を清めていく
金棒に続く各町内の高張提灯その後ろは触れ太鼓
旗を持った白丁と神職らが続く
行列はさらに続き日傘を差した舞女
箱を担ぐ白丁楽師
槍と扇を持った白丁社務局前では旗を持った白丁
行在所では神輿がお発ちし輿丁に担がれて社務局を出発
その後ろに宮司と刀を差した警護が続く
社務局を出発した一行は開山町の行在所を目指す
急参道に沿って坂道を登ると
右手には愛宕社の神輿が行列が福永町の祭場前を通過
祭場では茣蓙が引かれ正座をして行列を見送る
一行は左折して愛宕橋を渡ると
参道に出て右折行列を見送る沿道の人々
横断中に通行止めにする警察最後尾の神輿が鈴川を渡る
道沿いに緩やかな左カーブ市営第1駐車場を通過
良弁坂を登る先頭集団の金棒再び緩い左カーブに差し掛かる
バスが通過するのを待ち再び出発
右手に開山町の神輿が見え祭場では茣蓙を敷いて正座
神幸行列を見送る町内の高張提灯が祭場を通過
一行は良弁滝付近を通過左手にはとうふ坂への入口
開亀橋横を通過左手にはおゝすみ山荘
開山町の行在所では日之出倶楽部が神輿を待つ
先頭集団は行在所へは寄らず参道をそのまま直進
白丁は日の出屋で止まり休憩を取る
最後尾の神輿が姿を見せ行在所前で止まる
神輿を肩から下ろし左折して奥へ進む
行在所に輿を下ろしおゝすみ山荘から供物を運ぶ
神輿の正面に祭壇を設け供物を供える
宮司を先頭に神職らが神輿を参拝
参拝を済ませると奥へ進みおゝすみ山荘で休憩を取る
続いて日之出倶楽部が参拝山荘だいとうでも神部らが休憩
休憩中は警護が神輿を見張る私は行在所を離れ
良弁坂を上に進むとはやみ荘で前駆・警護らが休憩
その上のまりや旅館では阿夫利睦らが休憩
正面には阿夫利橋が見えここで行在所へ引き返す


小行在所(出発13:30)→追分社(到着14:00)

  13時30分に開山町の小行在所を出発し県道を通って阿夫利橋を渡り、稲荷町と坂本町を素通りする。14時に追分社に到着し、沿道では町内の人々が神輿を見送る。追分社では神輿に神饌を供えて祭典を行い、神幸行列はここで解散となる。

神部や舞童女が出発の準備地元住民が神輿前で記念撮影
神輿前の供物を下げおゝすみ山荘へ運ぶ
太鼓と柏木が出発の合図一行は参道へ出る
神輿は出発の準備休憩を終えた各担当者は
順番に坂を上り行列を構成していく
輿丁が神輿の周りに集まり神輿を持ち上げて馬を抜く
忌竹から神輿を出し行在所を出発
参道に出ると神輿を担ぎ上げ坂を上る
神輿の後は宮司や警護が続く
道の中央に寄り準備が整うと
太鼓の合図で神幸行列が出発
追分社を目指す一行阿夫利橋横を通過
道沿いに右カーブ
一行は次々と阿夫利橋を渡って行く
行列は後方まで長く続き最後尾の神輿が姿を現す
阿夫利橋を渡ると左折し織部前を通過
神輿もようやく橋に差し掛かり鈴川を渡ると
バスターミナルで左折荷物運搬車が織部前を通過
行列は市営第2駐車場横を通過神輿も後に続く
鈴川沿いに進み千代見橋の横を通過
左のもみじ坂には進まず右のこま参道へ向かう
神輿はここで立ち止まり手綱にロープを結び付ける
神輿前方でロープを引きながら神輿は階段を上る
青木館前を通過し再び石段を上がると
左手には稲荷町のテント千代見倶楽部が行列を見送る
稲荷社前を通過する宮司神輿は石段を上がり
金子屋支店の屋根を潜り旅館あさだ前を通過
私はもみじ坂を通り先回りし行列の中央付近に到着
一行は旅館千代見荘を通過神輿も石段に差し掛かり
勢い良く上っていく
山ゆり前を通過し西の茶屋本店の屋根を潜る
階段を上がるとうるわし本舗大津屋きゃらぶき本舗を通過
土産屋が立ち並ぶこま参道を通過
ここで前方から高張提灯が引き返す
左手には坂本町のテント雲井倶楽部が行列を見送る
大山こまを製造販売するゑびすや土産店を通過
続いて塚本みやげ店やかんき楼などを通過
こま参道はここで終わり一行は旅館もとだきを通過
左折して雲井橋を渡り大山ケーブル前の石段を上がる
追分駅を通過すると再び石段追分社はもうすぐ
続く石段を上がると目の前は女坂と男坂の境目
右手の石段を上がると追分社へ到着
神幸行列は次々と
境内へ到着石段を登る行列を
金棒が入口の両脇に立って迎える
最後尾の神輿が姿を見せ階段の前で立ち止まる
体制を整えるとロープを引きながら
一気に階段を駆け上がる
境内へ入ると神輿を肩から下ろし
馬を入れて忌竹内に輿を下ろす
境内に全員が揃うと神輿前で祭典の準備
まず最初に宮司が神輿を拝礼
続いて警固前駆が拝礼
阿夫利睦がおのぼりの準備神職が拝礼
舞童女と衣紋方が拝礼阿夫利睦は下の民家で休憩
拝礼が終わると追分社で神幸行列は解散

追分社(出発14:30)→下社(到着15:25)

  追分社から下社までは男坂を通り、人員は27日のオクダリのときととほぼ同様である。ただし神官はケーブルで下社まで上がっている。男坂はオクダリでは1回の休憩であったが、オノボリでは途中3回の休憩をとる。神輿は14時30分に追分社を出発し、14時40分頃に第1回の休みを取る。

阿夫利睦は休憩を終え入念にストレッチ
こちらは飲み物を背負い男坂への入り口へ
一足先に休憩所へ向けて出発
準備運動を終え神輿前の祭壇を外す
前の輿棒に巻き付けたロープを前方へ引き伸ばす
曳き手が階段にスタンバイ触れ太鼓が追い抜き先に出発
輿丁が神輿を囲み持ち上げて馬を抜き
忌竹から出す馬は階段を上がり先に出発
神輿を担ぎ上げ石段へ向かう
体制を整え急な階段を
一気に駆け上がる
境内で神輿を見送る見物客神輿は下社を目指す
階段を上がり終えると一旦平坦の場所へ出る
曳き手が次の階段を先に上り神輿を一気に曳き上げる
再び平らな場所へ出ると左に旋回
左手にある坂を勢いを付けて駆け上がる
今度は平らな部分が少ないので曳き手は階段の奥から左折
神輿が階段に足を掛け息を合せて駆け上がる
目の前に現れる石段を次々と登り切る神輿
男坂は進むに連れて徐々に険しくなる
足場が殆どない場所も曳き手と
担ぎ手が息を合せ登っていく
石段をまた一つ越えると
少し広い場所に出る道なりに右カーブ
石段前で止まっては駆け上がり
止まっては駆け上がり
見ているだけでその過酷さが伝わってきます
緩やかな上り坂でも片側は気を抜けない急斜面
ここからは前半で一番の難所見ているだけで恐怖感が伝わる
足場の悪い岩山を危なげなく切り抜ける
体力を一気に消耗し僅かな平地で息を整える
安定した足場がないので殆ど神輿を差し上げた状態で
急斜面を乗り越えていく
前半戦も終盤に差し掛かりここからは緩い坂が続く
暫く進むと休憩場所に到着
広い場所で神輿を肩から下ろし
水分補給一行は1回目の休憩を取る

  14時45分頃になると柏木と触れ太鼓が叩かれ、一行は準備を整えて出発する。再び10分ほど男坂を上がると、14時55分頃に第2回の休みを取る。

紙吹雪を持った神職が道を清めながら登っていく
続いて3名の神職が後に続く
飲み物を背負った阿夫利睦のメンバーも先に出発
太鼓と拍子木の合図で阿夫利睦は休憩を終え
輿丁が神輿に肩を入れる
一行はゆっくりと前進し最初の石段へ向かう
曳き手が神輿を引き上げ担ぎ手の体勢が整うと
一気に駆け上がる
石段を登り終えると右手のスチール製階段へ
内側の輿丁が神輿を差し上げ勢いを付けて登り始める
階段を登り切ると平坦な道を進み
再び石段を駆け上がる
今度は岩肌が剥き出しになった壁沿いの階段を上がる神輿
右手の手摺が付いたスチール製階段を上がる
息つく間もなく石段が現れ階段沿いに折れ曲がる曳き手
曳き手との連携が難しい曲がった階段を
なんとか登りきり平地で一息入れる
再び出発し山道を進む神輿
右奥に石段が見えその角度はかなりのもの
一般の神社祭礼ではなかなか見ることのできない
神輿の山登りこの過酷さが分かると
追分社での準備運動の必要性が納得できます
次は休憩前の最後の石段後方は切り立った危険な崖
足場に注意しながら石段を駆け上がり
ここで神輿を肩から下ろす
水分を補給ししばらく休憩を取る
掛声
(2回目休憩)

  1回目と同様に5分程度の休みを取ると、一行は15時頃に出発する。再び10分ほど石段を登り、15時10分頃に男坂と女坂の交わるところで最後となる第3回目の休みを取る。

2回目の休憩を終えると神輿を担ぎ上げ
曳き手が階段を進むここからはさらに足場が限られ
負担の掛かる体制から階段を駆け上がる
休憩後の最初の石段を越えると左手の石段へ向けて旋回
助走を付けられない体制から石段を登っていく
左下には急斜面が見え落ちれば大惨事に
階段はほぼ直角に折れ曳き手は神輿を引き上げる
担ぎ手はなんとか階段を上がり崖っぷちで持ち応える
ここから足場の悪い石段を一気に駆け上がる
曳き手の疲労も色濃く出ているが
休む間もなく神輿を引き続ける
この近辺は長い階段が多く
次の石段もかなりの距離
なんとか登り切ると
目の前は休憩前の最後の石段体制を整え直し
最後の力を振り絞り曳き手が石段を登り切る
さらに平地で綱を引っ張り神輿を石段から引き上げる
休憩場所を奥へ進み石段の前で輿を下ろす
水分を補給し最後の休憩を取る

  一行は15時20分頃に最後の休憩場所を出発し、15時25分頃に下社へ到着する。

休憩中に阿夫利睦が集まり曳き手と担ぎ手の連携を確認
飲み物を背負ったメンバーが出発拍子木が出発の合図
曳き手は綱を持ち輿丁は輿棒に付く
神輿を持ち上げて馬を抜き肩を入れる
馬を背負ったメンバー2人を先に通すと
社務所へ向かって最後の休憩所をお発ち
最初の階段をゆっくりと通過し
2つめの階段も登っていく
平坦な道を進むと男坂で最後の石段へ
境内に向かって神輿は登り始める
長い階段を慎重に進み
ようやく山道を抜ける
右手に茶屋が立ち並び参道を進んでいく神輿
下社境内へ続く石段へ向かいゆっくりと登り始める
階段を進み洗心閣前を通過
再び石段を上がっていく
男坂とは異なりゆっくりと進む神輿
最後の石段を登りきり
いよいよ境内へ
鳥居を潜り社殿へ向かう
社殿前で止まると神輿を肩から下ろし
馬を入れて境内へ輿を下ろす
社殿から宮司が現れると輿丁が再び神輿に集まり
持ち上げて馬を抜くと社殿へ向かう
石段を上がり拝殿へ
入口で神輿は神職へ手渡され本殿へ運ばれていく
無事に勤めを終えた阿夫利睦は整列してお宮を参拝
社殿から宮司が出てきて労いの言葉を掛ける
・・・の挨拶があり阿夫利睦は手締め
社殿前に整列し記念撮影
荷物を持って境内を出る
石段を降り洗心閣へ入り
休憩を取る社殿では御霊遷しの儀が執行

  神輿が社殿前に到着すると直ぐに拝殿内に移され、御霊遷しの儀が執行されると、以上で秋季大祭の全日程が終了する。


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