八幡やわた

神社の紹介

  「八坂神社」は八幡の鎮守である。天保12年(1841年)完成の『新編相模国風土記稿』によると八幡村の地名は相模国第五の宮である「八幡宮」が鎮座していることからなり、社は平塚新宿にあることから正保(1645〜48年)・慶安(1648〜51年)の頃は新宿を八幡新宿と称し、古くは新宿が八幡村に属していた。八幡村では「牛頭天王社」を村の鎮守としていたが、平塚新宿の八幡宮を八幡庄の総鎮守とし、この牛頭天王社を小鎮守と称していた。牛頭天王社は明治初期に現在の八坂神社と改称した。別当寺院は「泉藏院」で、同院持ちはこの他にも「神明社」・「諏訪社」・「熊野社」・「稲荷社」・「山王社」・「道祖神社」があった。

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八坂神社社号柱
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狛犬狛犬
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鳥居手水舎
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立て燈籠釣り燈籠
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拝殿覆殿
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末社は御嶽社と山王社
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石碑神楽殿
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八幡自治会館境内


宵宮祭

  祭りの前日をヨイミヤとかヨミヤといって、八幡の氏子全員が出て幟立てをしたり、神輿の準備をする。各家では祭提灯を出し、厚木街道沿いには注連縄が張られた。以下は現在の宵宮祭の様子である。

●神輿準備

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モジリを掛ける輿棒に綱をつける
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鈴と提灯を付ける
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神輿を持ち上げ拝殿前へ移動

●太鼓準備

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太鼓を締める途中で革が破れたので
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ボルトを緩めるしばらくして偶然にもまた1枚
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太鼓をバラして別の革で組み直す
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新しい革なので最初は足で踏んで伸ばす
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ボルトを締めていき音色を確認
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今年は珍しく2枚破れる締太鼓と
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大太鼓を櫓に上げ枠にはめる
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3カラ設置して布を掛ける

●舞台準備

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飾り付けられた神楽殿観客用の椅子を並べる
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蚊取り線香に火を付け椅子の下に掛ける
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舞台ではマイクのテスト音響の最終調整

●式典準備

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拝殿に椅子を並べる子供の巫女達が
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舞の練習神輿前で記念撮影
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自治会館で待機平塚八幡宮の神職と
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宮司が到着神職は祭壇の準備

●宵宮祭式典(開始16:00)

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関係者が列席し宵宮祭の式典が始まる
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子供達の巫女による舞太鼓の合図で式典終了
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宮世話人は境内に降り神輿を取り囲む
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拝殿から白い布を持ち出し神輿の方へ伸ばす
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神輿を覆い隠すようにぐるりと一周覆う
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宮司が御霊を入れる御霊入れが終わると布を外し
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丸めていくその後は末社へ移動
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末社の宵宮祭式典を執り行う式典後は自治会間にて直会
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神輿保存会は神輿を持ち上げ旋回させる
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大鳥を鳥居側に向け輿を降ろす

  この後は下記の宵宮祭奉納演芸へ。



宵宮祭奉納演芸

  宵宮祭と例大祭の2日間に渡って、八坂神社境内の神楽殿と櫓では奉納演芸が開催される。囃子の奉納演奏は櫓に付けられた提灯を点滅させて、開始や終了などの合図を知らせるようにし、神楽殿での演芸に支障が出ないようにプログラムを進行させていく。

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子供達が櫓前に集合ねじり鉢巻を締め直す
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1班から3班の順で整列青年部の説明を受ける
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拝殿に2礼2拍手1礼し櫓へ登っていく
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宵宮祭の奉納演芸が始まるはじめに神社責任総代の挨拶
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最初の演芸は少年部による太鼓カラオケを挟み
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再び少年部による太鼓演奏櫓前は多くの観客
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ジャズ体操は大人の部に続き子供の部
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神楽殿前には多くの観客続いて3回目の太鼓を披露
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次はハワイアンバンド少年部の太鼓はこれで最後
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裏の露店と参道両脇の露店は賑わう

  この後は境内での神輿担ぎが行われ、再び神楽殿での奉納演芸が続く。

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拝殿前の神輿を担ぎ上げ境内を練る
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手水舎まで進むと引き返し拝殿前に輿を降ろす
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その後は舞台でフラダンスここから太鼓は青年部へ
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囃子には笛も入るカラオケ、踊りと続き
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舞台での奉納演芸は終了神輿に肩を入れ
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担ぎ上げる箪笥を打ち鳴らす
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神楽殿へ移動神輿を横にし
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舞台へ置く鈴を取り外す
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櫓では最後の太鼓演奏これで全ての演芸が終了
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太鼓を神輿殿へしまう神輿は翌朝まで神楽殿に安置

宵宮祭奉納演芸(平成21年7月11日)
Noプログラム所属時間
1責任総代挨拶八坂神社17:25〜17:30(5分)
2太鼓(少年部)八幡囃子太鼓保存会17:30〜17:45(15分)
3カラオケ八寿会17:45〜18:00(15分)
4太鼓(少年部)八幡囃子太鼓保存会18:00〜18:15(15分)
5ジャズ体操
(大人の部)
リリーズ八幡18:15〜18:30(15分)
6ジャズ体操
(子供の部)
イナズマキッズ18:30〜19:00(30分)
7太鼓(少年部)八幡囃子太鼓保存会19:00〜19:15(15分)
8ハワイアンバンドプエオサウンズ19:15〜19:40(25分)
9太鼓(少年部)八幡囃子太鼓保存会19:40〜19:55(15分)
10神輿八坂神社神輿保存会19:55〜20:05(10分)
11フラダンスフラ.モキハナ20:05〜20:25(20分)
12太鼓(青年部)八幡囃子太鼓保存会20:25〜20:40(15分)
13カラオケ八寿会20:40〜21:00(20分)
14踊り八踊会
15太鼓(青年部)八幡囃子太鼓保存会21:00〜21:30(30分)


青年会

  板戸で長男であった話者(大正11年生)は15歳のときの正月に、青年会の新年会に酒を一升持っていき仲間に入れてもらった。次男以下なら酒五合であった。会員は同じ町内の者たちでほとんど長男であり、青年会長は青年幹事と呼ばれ四字の幹事のなかから選ばれた。上町でも15歳になると酒一升を持って親が連れていき挨拶をし、次男以下だともうすこし年齢が上になったりした。青年会幹事はいわば上町の長というべき存在で、その家で初集会を行い、そこに町内の役員も参加して様々な相談をした。この青年会が有名無実化してからは、町内会長宅で町内初集会を1月中に開くようになった。

太鼓

  八幡では太鼓が一時期途絶えていたが、当時の「前鳥囃子保存会」に教わり復活させた。現在演奏する曲目は「ハヤシ」・「ミヤショウデン」・「キザミ」の3曲で、笛は平成16・17年(1996・97年)頃に習っておりハヤシのみ笛が入る。今後はミヤショウデンの笛も習う予定だという。練習は6月上旬から大祭前まで週3回のペースで行い、子供達にも太鼓を指導している。現在の楽器構成は、トラック屋台の場合には笛1・鉦1・締太鼓2・大太鼓1の編成で、境内の櫓では太鼓3カラが横1列に並べられる。叩き手は全て地元の「八幡囃子太鼓保存会」である。
  八幡では子供達の教育に力を入れており、少年部がよくまとまって機能している。叩き手は1班から3判に別れ、各班に班長と副部長(共にタスキを掛ける)を1名ずつ配置する。この3班が櫓での3カラの太鼓や2台のトラック屋台の太鼓を、青年部によって指定された順番で担当していく。

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大人用の車山車正面
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子供用の車山車正面
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境内に設置された櫓太鼓は3カラ並ぶ

  大祭当日は大小2台のトラック屋台が用意され、小さい方は細い道でも通れるため主に神輿の先導として同行することが多い。大きい方は神輿とは別行動で八幡地区を巡行するが、宮入り前の直線では終始神輿を先導していく。青年部の叩く太鼓はかなり激しいもので、叩き手はハヤシを数周回すと直ぐに交代する。笛も太鼓に合わせるためトッラクの屋台には酸素缶を常備し、苦しくなってくると酸素補給をして長く吹き続けられるように工夫をしている。

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屋台上では太鼓が正面中で鉦を叩く
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宮入り前の笛は歩いて同行酸素缶を積み
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酸欠になってきた吹き手は酸素補給
囃子


神輿

  八坂神社神輿は江戸時代の神輿で、内部右壁に「明治十二改製/当国高座郡宮山邨 塗工 三上市五郎/東京弁慶橋元岩井町 餝工 柏原甚吉」、左壁に「昭和弐拾九年六月修繕(中略)平塚市駅前 修繕人 極楽堂」の墨書がある。
  子供神輿は坂戸(さかど)・尼沼(あまぬま)・田端(たばた)・高野町(たかのちょう)・上長(かみちょう)の5基あり、例大祭では各町内に分かれて別々に巡行する。

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神輿殿自治会館内の子供神輿
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大神輿坂戸の子供神輿
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尼沼の子供神輿田端の子供神輿
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高野町の子供神輿上長の子供神輿

  かつて7月9日は旧大根村真田の天王祭りで、周辺農村は遅くとも真田の天王参りまでには田植を終えて農繁期終了時にあたるため、この天王参りはたいへんな賑わいを見せた。大野からも多くの人々が参り、真田神社の次に真田与一を祀る寺へも参り、農具市などにも立ち寄って帰った。四之宮の渡船場は寒川・藤沢方面からの人出で混雑し、平素の何倍も対岸との往復をしなければならなかった。
  八幡の八坂神社では真田の天王祭りの時に神輿倉から神輿を出し、宵宮である13日夜までその周辺で賑やかに囃子をし、14日の祭りに神輿渡御をした。



例大祭

  現在では平塚新宿に鎮座している平塚八幡宮を新宿・馬入と共に鎮守として祀っているが、年番制で祭り当番を受け持っているために3年に1度年番が回ってくる。その関係から八幡は平塚八幡宮の宮元であっても祭りが新宿地区ほど盛り上がらないこともあり、毎年行われる八坂神社の祭りが盛んになってきたという。八幡では盆の日取りを他に比べて1日繰り上げて行うという。
  『風土紀稿』によると祭日は6月7日から14日までとあるが、その後の例祭日は四之宮にある八坂神社と同じ7月14日で、「お天王さん」と呼ばれていた。いずれも9日の真田のお天王さんの時に神輿をお仮屋に出し、14日の祭り当日には大字内を渡御した。現在の例祭日は7月14日に近い日曜日に変わっている。
  宮総代ともいわれる宮世話人が八幡全体から2名選出され、その任期は3年である。八幡の中にはカミ(上)・タバタ(田端)・サカド(坂戸)・アマヌマ(尼沼)という4つのチョウナイ(町内)に別れ、さらにその町内が、例えば尼沼のように上・中・下というように3つの組に分かれている。各町内をひとつの単位として祀っている小祠等はないが、川除稲荷は田端・坂戸の一部の人々によって祀られている。組単位では稲荷講が行われていることが多く、かつては尼沼だけで稲荷講を結成していたという。
  祭りの当日は神主が来て祝詞をあげてから、祭半天を身につけて者によって神輿が担がれ、ムラの中を練り歩いた。境内は芝居などの余興が行われ賑わったという。祭りの翌日はハチハライといって祭りの後片付けをした後に、残り物を御馳走にしてを飲み食いした。以下は現在の例大祭の様子である。

●大祭準備

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早朝から境内の掃除参道に水をまく
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自治会館前にテーブルを並べ受付の準備
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社殿周辺の清掃拝殿の扉を外し
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掃除機を掛け椅子を並べる
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宮司と神職が到着し自治会館に入る
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神職は祭壇の準備お神酒や食物が供えられる
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神輿保存会は拝殿前に馬を置く神楽殿に置かれた神輿に
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鈴を取り付け榊を付ける
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神楽殿から神輿を出し担いで
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社殿に向かう拝殿前に輿を降ろす
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竹の長さを調節し神輿の四方に立てる
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竹に縄を張り縄に紙垂を付ける
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自治会館からは子供神輿を運び出す
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神楽殿へ向かい子供神輿を並べていく
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境内に揃った5基の子供神輿輿棒を横に2本追加する
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受付ではご祝儀のお返しにタオルを渡す
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お神酒を注ぎ身を清める
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太鼓の受付は櫓の左下神輿の受付は櫓前に設置

●例大祭式典(開始8:00)

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宮司・神職・巫女が現れ手水舎へ向かう
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式典前に身を清める役員も手を洗い
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口をすすぐ実を清めると社殿へ向かう
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太鼓の合図で式典開始
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八坂神社の式典が終わると末社へ移動し
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末社の例大祭式典を執り行う忠魂碑前で祝詞奏上
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その後は神輿前に移動し神事を執り行う

  この後の宮発ちから宮着きまでは神輿巡行を参照。

還御祭(開始19:15)
  神輿が八幡地区の巡行を終えて無事に宮入りすると、神輿を白い布で覆いながら御霊を抜き、その後は社殿内で還御祭が執り行われる。

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宮付け後は白い布を覆い神輿から御霊を抜く
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それが終わると白い布を巻き取る
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その瞬間にぶっこみが入り八幡囃子が奏でられる
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次に太鼓の合図で還御祭が執り行われる
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境内には多くの参拝者が訪れお参りをしていく
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式典中に神輿から鈴を外しモジリを緩める
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台車を用意し神輿を載せる
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神輿殿へ移動し台車ごと神輿を収める

  この後は下記の例大祭奉納演芸へ。



●例大祭奉納演芸

  宵宮に引き続き例大祭でも奉納演芸が開催され、神輿の宮入りを挟んで21時30分まで行われる。また、参道両脇には24の露店(平成21年度)が出て、境内は多くの参拝客で賑わいを見せる。以下は宮入り後の様子である。

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宮入後はマジックとカラオケ境内は観客で埋まる
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続いて少年部による太鼓櫓の下も観客で埋まる
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発表後に子供達は櫓下へ集合総代の挨拶
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青年部の挨拶3本締めで少年部は解散
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続いて踊りとカラオケ
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参道の露店は大賑わい今度は青年部による太鼓演奏
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次はカラオケ踊りと続き
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神楽殿での演芸は終了舞台では片付け
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露店も撤収するが櫓では奉納演芸が続く
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最後の叩き収め演奏が終わると
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神輿殿へ太鼓運び櫓の花や
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提灯などの飾り付けを外すトラック屋台でも飾りを外す

例大祭奉納演芸(平成21年7月12日)
Noプログラム所属時間
1会長挨拶自治会連合会17:50〜17:55(5分)
2太鼓(少年部)八幡囃子太鼓保存会17:55〜18:10(15分)
3カラオケ・民謡八寿会18:10〜18:40(30分)
4太鼓(少年部)八幡囃子太鼓保存会18:40〜18:55(15分)
5宮入・還御祭18:55〜19:35(40分)
6マジック・カラオケ八寿会19:35〜19:50(15分)
7太鼓(少年部)八幡囃子太鼓保存会19:50〜20:05(15分)
8踊り八踊会20:05〜20:35(30分)
9カラオケ八寿会
10太鼓(青年部)八幡囃子太鼓保存会20:35〜20:50(15分)
11カラオケ八寿会20:50〜21:10(20分)
12踊り八踊会
13太鼓(青年部)八幡囃子太鼓保存会21:10〜21:30(20分)

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