かね

歴史

  かねは「当り鉦」・「摺り鉦」・「叩き鉦」・「調子鉦」・「チャンチキ」・「コンチキ」とも呼ばれ、神奈川、千葉、東京では「与助ヨスケ(または四助)」とも言う。これは、与助という名の鉦叩がいたという説と、笛・太鼓の四人を助ける役とする説がある。このほかにも、鉦が祭囃子に加わったのは飴売り芸人の与助からという伝承から、最初の祭囃子には鉦が無かったという説もあるが、祇園囃子の鉦役は最初からのもので、これを取り入れた江戸囃子に最初からあったことは充分考えられる。また、鉦が念仏行事に主用されることは周知のことである。
  真鍮などの金属で作った凹状の体鳴楽器で、手で持ったり、縁に紐を通して枠から吊るしたりして、ばちで打つ。伏せて打つ場合は伏鉦ふせがねと呼ぶ。祭囃子・神楽囃子・念仏踊りなどで用いる。

かね撞木しゅもく鉦の奏法

奏法

  鉦は左手で持ち、指を紐に引っ掛け、右手の撞木で鐘の凹部(内側)を擦るようにして打つことから「スリ鉦」の称がある。また、叩くことから「叩き鉦」の鉦もある。撞木の先端には音色を良くするために「鹿」・「水牛」などの角や「ケヤキ」などの硬質の円柱状の物を付ける。
祇園ぎおん囃子の鉦
  祇園囃子で使用する鉦は合金製の摺り鉦で、右手に持った「カネスリ」と呼ぶ角撞木つのしゅもくで鉦の凹を打つ。その奏法には以下の4種類があり、これらが組み合わさって「チャンチキチン」といったパターンが生み出される。

祇園囃子での鉦の奏法
順番奏法表現
1凹面の真ん中打ちコン(チャン)
2跳ね打ち(縁の下部を打ってから上に跳ねる)
3縁の上部打ち
4払い打ち(縁の下部を打ってから下に払う)チン

江戸えど囃子の鉦
  江戸囃子の鉦は片手に収まる大きさで「ヨスケ」と通称し、左手のひらに持ち鹿の角の撞木で凹部を打つ。その際、凹部縁を叩く「チ」では鉦の外側凸部を指で押さえ、凹部真中を叩く「チャン」では指を離すことで音色の変化を付ける。