浜降祭(菅谷神社編)
浜降祭と菅谷神社
八坂神社神輿の浜降祭出御の初見は明治17年(1884年)で、同じ岡田の日枝神社にも神輿があり、こちらは明治15年(1882年)の浜降祭に出御した。この2社以外は岡田よりの渡御の記録は見当たらない。両社は不定期ながら八坂神社は明治36年(1903年)まで、山王社は明治40年(1907年)年まで見える。神明宮(後の菅谷神社)に合祀されてからは明治43年(1910年)より菅谷神社で1基出御されているので、明治40年頃までは伝承にもあるように岡田に神輿が2基あった可能性がある。
大正期以降、特別な扱いをされている神社が2社あり、それは浜之郷(茅ヶ崎市)の鶴嶺八幡宮(社)と岡田(寒川町)の菅谷神社である。菅谷神社は明治42年(1909年)に岡田・小谷・大蔵の3ヶ村から6社(上記の八坂・日枝両神社を含む)が合祀されてできた神社で、明治43年(1910年)以来岡田から毎年浜降祭に参加している(但し明治43・44年は南湖浜へは不参加)。この菅谷神社の神輿は天保年間に相模川に流出したとされる寒川神社のもので、天保15年(1844年)に岡田村に譲られた由緒をもつ神輿である。このような事情から浜降祭では特別な地位を与えられ、明治45年/大正元年(1912年)には南湖浜への神輿渡幸の順次も、南湖浜での席順においても寒川神社に次いで第2位の座を確保しており、これ以降の年も常に寒川神社に次いで東隣りの席順に位置している。大正8年(1919年)からは南湖浜までの行列の順、南湖浜での席順は抽籤によって決定されるようになったが、寒川神社はもちろんのこと菅谷神社も抽籤外と記されている。
午前の準備(9:00〜)
浜降祭の前日は朝から準備が行われ、菅谷神社神輿愛好会は朝9時に集合して、神幸祭と同様に神輿を中心に準備を進める。
神輿愛好会は9時集合 | 神楽殿の雨戸を開ける |
神楽殿のシャッターを開け | 備品を外へ移動 |
寒川神社浜降祭広報委員会の | 宣伝車が到着 |
会長に挨拶し | 団扇やポスターを渡す |
宣伝車は菅谷神社を出発し | 参加する神社を巡る |
神職を乗せた車が到着 | 神主が姿を見せる |
会長が賽銭を入れ | 愛好会が境内に集まる |
ニ拝ニ拍手一拝で | お宮を参拝 |
各自準備に取り掛かる | 拝殿前の賽銭箱を移動 |
扉を開け | 入り口を掃き掃除 |
境内では | ブルシートを運び |
一杯に広げて | 折りたたむ |
たたんだシートは | 拝殿へ |
天保神輿は | 神輿殿から出し |
台車ごと | 境内へ |
神楽殿から轅を出し | 棒穴へ差し込む |
もう一本も運び出し | もう片方の棒穴へ |
馬を準備し | 台車を神輿から抜く |
神輿を馬に載せ | 轅を楔で固定 |
神楽殿裏からは | 発泡スチロールの容器を運び |
境内に置く | 神輿下では楔を固定 |
轅を固定し終わると | 轅を抱えて馬を抜き |
境内で旋回し | 社殿へ向かう |
神輿を差し上げ | 石段を上がる |
棒で簾を上げ | 神輿は入口を通過 |
拝殿に入ると | ブルシートを敷き |
そのままゆっくりと | 輿を下ろす |
晒をちぎり | 神輿を磨いていく |
愛好会打合せ(10:00〜)→準備続き→昼食
神輿愛好会は10時になると準備を一旦打ち切り、神楽殿に集まって打ち合わせを行う。浜降祭の打ち合わせのほかに、次の週に行われる日産工機夏まつりや、他地区で行われる祭礼への参加について説明がある。
打ち合わせは30分程で終わり、その後は神輿の準備の続きや、玉垣に弓張提灯を掲示していく。
神輿の準備を中断し | 愛好会は神楽殿へ |
テーブルを囲んで着席し | 浜降際などの打ち合わせ |
私は会の半纏をお借りしました | 打ち合わせが終わり |
拝殿に戻ると | 再び神輿を磨く |
箱台輪 | 鳥居 |
格狭間と | くまなく磨いていく |
磨きが終わるといよいよ捩り掛け | 祭壇前では掃除が始る |
神輿殿では壁に掛けてある | 提灯を外し |
弓張提灯御掲示処へ | 提灯を掛けていく |
神職等は拭き掃除 | 轅には手綱を通す |
拝殿前では | 提灯を設置 |
拝殿横では田んぼで採れた | 稲をほぐす |
弓張提灯の運搬は | まだまだ続く |
こちらは小鳥を磨く | 反対側の轅にも手綱を通す |
天保神輿では | 晒をきつく張っていく |
式典の準備が着々と進む | 小鳥の次は大鳥を磨く |
提灯を並び終えシートを被せる | 前の轅にも手綱を通す |
稲の長さを切り揃え | 日向で暫く干す |
捩り掛けには | 熱が入る |
手綱はほどけないように | 麻の紐で縛りつける |
社殿前では三脚を立て | かがり火の準備 |
先輩の指導により次の世代へ | 伝統が引き継がれていく |
晒の緩みを | 取り除き |
結んで固定 | 作業はここで一段落 |
先ほど磨いた鳳凰を | 社殿内へ運ぶ |
大鳥の胴に晒しを巻きつける | 境内では予備の轅を準備 |
さきほど干した稲は | 中央で交差させて結び |
再び日向で干す | 保存会は作業を中断し昼休憩 |
午後の準備(12:30〜)
12時から30分ほどで昼食を取ると、愛好会は再び準備に取り掛かる。総代らも触れ太鼓を載せる先導車の準備や、玉垣に提灯を飾るなどの準備を進めていく。また、午後には岡田祭ばやし保存会の屋台が菅谷神社の氏子地域を巡行し、囃子を奏でながら浜降祭の開催を伝える。
昼食を終えると | 発泡スチロールの箱を |
車へ積み込み | 氷を取りに出発 |
一方、天保神輿では | 鳳凰を露盤へ差し込む |
晒を四方の蕨手へ伸ばし | 締め付けて鳳凰を固定 |
社名の書かれた布を | 大紋の上部に取り付ける |
小鳥を蕨手へ差し込み | 晒で磨く |
屋根や | 大鳥も丹念に磨く |
捩りの途中を紐で縛り | 鈴を取り付ける |
境内では先導車の準備 | 玉垣では提灯の準備 |
提灯に電球を入れる | 社殿前の提灯も電球を入れる |
鳳凰のくちばしには | 稲を銜えさせる |
車には社名入りの幕を掛ける | 社務所前では氷を砕く |
神輿の磨きが終わると | 敷いてあったブルーシートを外す |
ここで氷を取りに行った | ワゴン車がお宮に戻る |
天保神輿の轅を持ち | 抱え上げる |
馬を入れ | 一旦輿を下ろす |
今度は肩を入れ | 担ぎ上げる |
ステップを踏み | 轅のしなり具合を確認 |
輿を下ろして | 神輿を拝殿の中央へ移動 |
神輿を抱えながら | 微調整 |
愛好会は神楽殿で小休憩 | 社務所では提灯にラップを巻く |
愛好会は休憩を終え飲み物と | 氷を運び |
社殿横へ置く | 神輿にはバッテリーを取り付ける |
箱から飲み物を取り出し | 発泡スチロールの容器へ入れる |
氷を砕き | 飲み物と一緒に入れる |
蓋をテープで固定し | 行き先を書いて積んでいく |
今年は神幸祭の教訓を活かし | 予備の轅を軽トラへ積む |
神事で使う鈴を磨き | 隅木の下に吊るす |
触太鼓を積んだ軽トラと | 轅を積んだ軽トラがお宮を出発 |
飲み物を入れた発泡スチロールを | 手渡しで |
神楽殿の方へ運搬 | 軽トラへ積んでいく |
神輿愛好会はここで解散 | 神楽殿のテーブルを片付ける |
私は岡田新町集会所へ同伴し | 愛好会の方々と休憩を取る |
岡田地区を巡行する | 岡田祭ばやし保存会の屋台 |
大方の準備が終わるのは16時頃で、神輿保存会はここで一旦解散となる。神社に再び集合する時間は6時間後の22時となっているため、夜通しの神輿渡御に備えて一旦家に帰って睡眠をとる者もいれば、東北からの応援団体を迎えるために岡田新町の集会所へ向かう者など、この時間帯は会員によって行動は区区である。
浜降祭
●諸員参集(22:00)
浜降祭前日の22時になると花火が打ち上げられ、渡御委員や輿丁が境内に集合する。神輿愛好会は鳥居前に整列し、応援の団体を出迎える。
東北からの応援も到着し | 愛好会は集会所を出発 |
菅谷神社に到着すると | 半纏を帯でとめる |
準備が整うと | 愛好会は社殿へ向かう |
天保神輿に肩を入れて | 担ぎ上げ |
拝殿を出て | 境内へ下りる |
担ぎ手は社殿の方向を向き | 肩の高さを念入りに調整 |
確認が終わると | 石段を上がり |
拝殿に入ると | 輿を下ろす |
神輿殿前に集まる愛好会 | 社務所前には総代が集合 |
22時に花火が打ち上がり | 愛好会は鳥居前に整列 |
応援の団体を迎え入れる | 総代は社殿へ向かう |
●遷霊祭(22:15)
神幸祭の前日と同様に社殿から神輿へ御霊を遷す遷霊祭が行われ、遷霊祭が終わると発輿祭のために神輿を境内へ移動する。
太鼓の合図で | 遷霊祭が始る |
境内には応援の担ぎ手が集まる | 愛好会は乾杯の準備 |
さくら幼稚園の方向から | 祭ばやしの屋台が到着 |
遷霊祭が終わると総代は境内へ | 神輿愛好会は社殿へ向かう |
天保神輿に肩を入れ | 担ぎ上げる |
拝殿を出て | 境内へ下りると |
神輿を旋回させ | 鳥居側に正面を向ける |
神輿を下ろし | 提灯とライトを点灯 |
●発輿祭(22:45)
発輿祭も神幸祭と同様の順序で進められる。
発輿祭を知らせる太鼓の合図 | 総代の司会進行で |
暗闇の中、神事が執り行われる | 初めに修祓 |
お祓いが終わると | 祝詞奏上 |
玉串拝礼で神事が終わり | 祭典委員長の挨拶 |
愛好会に司会進行が代わり | 会長の挨拶 |
続いて友好・協力団体の紹介 | 代表者は前に出て挨拶 |
渡御委員長の乾杯があり | 御神酒で身を清める |
発輿祭が終わると神輿は神社を出発し、浜降祭の祭場へ向かう。神輿渡御の様子は下記を参照(※記載している時刻はあくまで目安であり、交通状態やその他諸事情などにより前後する)。
・神輿渡御(往路)・・・菅谷神社〜南湖浜祭場
・神輿渡御(復路)・・・南湖浜祭場〜菅谷神社
●還幸祭(13:10)
南湖浜の祭場から無事に帰還した神輿は社殿内へ納められ、神輿から社殿へ御霊を戻す還幸祭が執り行われる。還幸祭後は境内にて直会が行われ、直会後は後片付けをして解散となる。
愛好会は天保神輿を担ぎ上げ | 石段を上がる |
拝殿内に輿を下ろし | 担ぎ手は境内へ |
太鼓の合図で | 還幸祭が始る |
愛好会は神輿殿横へ移動し | ブルーシートを運び出す |
日陰のある玉垣側で広げ | ブルーシートを敷いていく |
冷やした飲み物を運び出し | 応援の担ぎ手たちへ配っていく |
こちらはコップに氷を砕いて入れ | お茶割りを入れる |
木陰で休憩する担ぎ手 | 愛好会は接待で大忙し |
20分程で還幸祭が終わり | 総代らは社務所へ戻る |
愛好会は神輿の後片付けへ | 晒を外して巻いていく |
鳳凰を照らすライトや | 社名の書かれた布を取り外す |
一方、会長らは社務所前にて | 応援の団体を御見送り |
社殿では鳳凰を抜き | 屋根部の晒を外していく |
神輿の下では楔を外す | 応援団体の見送りを終えると |
愛好会はシートへ移動し | 後片付け |
空いた容器を回収し | ブルーシートをたたんでいく |
神輿殿から台車を取り出し | 社殿へ向かう |
神輿を社殿から担ぎ出し | 境内に出ると |
神輿を台車に載せ | 轅を抜いていく |
神楽殿前に運び | 馬の上に載せる |
神輿は台車ごと神輿殿まで移動 | 奥へ収める |
轅には端から | 晒を巻いていき |
巻き終わると | 神輿殿へしまう |
神輿から外した晒を巻き | 終えると境内に集合 |
会長の挨拶で解散 | 半纏ありがとうございました |
戻る(浜降祭)
戻る(岡田・小谷・大蔵)