ひらつか囃子太鼓はやしだいこフェスティバル

ひらつか囃子太鼓フェスティバル

  「ひらつか囃子太鼓フェスティバル」は平成17年(2005年)8月6日(土)に平塚市博物館前の文化公園噴水広場で開催され、各団体の発表や競り合いが行われた。この時の出演団体は下記の8団体である。

  ・入野太鼓保存会
  ・城所太鼓保存会
  ・前鳥神社囃子太鼓保存会
  ・田村ばやし保存会
  ・豊田西町自治会
  ・豊田本宿自治会
  ・中原上宿太鼓保存会
  ・馬入祇園ばやし保存会

  このフェスティバル(以降第1回と仮称する)は博物館の夏期特別展である「平塚のお祭り−その伝統と創造−」の中で行われたイベントであり、博物館単独の主催で繰り返し実施をすることは難しい状況であったが、「ひらつか囃子太鼓フェスティバル実行委員会」を組織することにより平成21年(2009年)3月14日(土)に「第2回ひらつか囃子太鼓フェスティバル」を開催するに至った。実行委員会は第1回目を企画した博物館のメンバーや、平塚各地の太鼓連等の関係者から組織されている。第2回目は実行委員会の単独主催にて行われるが、第3回目以降は実行委員会と平塚市博物館の共催で実施することを予定している。
  第2回目以降のフェスティバルは2部構成になっており、第1部は中央公民館のホールで行われる「舞台発表」、第2部は浅間緑地で行われる「競合い」である。当フェスティバルは参加団体を平塚市内に限定するのではなく、神社祭礼に関係するお囃子であれば平塚市外の団体も申し込みが可能である。

中央公民館浅間緑地

  フェスティバル当日は中央公民館の受付にてパンフレットが配布され、中にはプログラムや出演団体の紹介などが記載されている。

パンフレット表紙出演団体の紹介


平塚のお祭り−その伝統と創造−

  「平塚のお祭り−その伝統と創造−」は平塚市博物館主催で、平成17年(2005年)7月23日から9月4日に開催された夏期特別展である。
  平成16(2004年)3月から平成17年(2005年)5月にかけて博物館が実施した市内祭礼調査を元に、平塚市内58社の神社祭礼を写真とビデオで紹介した。実物資料では寺田縄日枝神社と入野八坂神社の神輿2基が出展され、馬入の万燈、田村ばやしと豊田ばやしの楽器、太鼓製作道具、山車、祭半纏、古写真などお祭りに関する様々な資料を展示した。
  また、この特別展をまとめた解説図録も作成され、販売もされている。

表紙市内の祭礼が紹介されている


フェスティバルの準備

  フェスティバルの準備や運営は実行委員会を中心に、参加団体の代表者などがボランティアの形式で行う。中央公民館や浅間緑地の手配や当日の司会進行はもちろん、ポスターやパンフレットの作成など多岐にわたる。

事前打合せポスターの作成


第3回目以降のフェスティバル

  第3回・・・2010/3/27(土)
  第4回・・・2012/3/17(土)   ※2011年3月11日の震災により1年延期



フェスティバルへの見解

  近年において、伝統芸能でもあり地元独自の文化でもある祭り囃子を重要視する市町村は多く存在する。市内のお囃子を調査して市指定の重要無形文化財に登録したり、市内の団体を集めて発表会を行うところも多く存在する。平塚市には無形文化財に指定されている祭り囃子が「前鳥囃子」と「田村ばやし」の2つあり、この2つの地区以外においても近隣の市町村と比較して太鼓が盛んな所が非常に多いといえる。このような背景のもとで平塚市内の太鼓愛好家達が実行委員会を結成し、フェスティバルという大きな企画を実現させたことは、平塚市内の祭り囃子の維持・継承そして発展において非常に意味のある大きな第一歩である。
  当フェスティバルの最大の目的は、平塚市内の太鼓団体の活性化であると思われる。特に近年は科学分野の進歩や情報の肥大化・高速化に伴い、人々の娯楽や趣味は多種多様化してきている。かつては各部落の鎮守である氏神を中心に社会は形成され、神社の祭礼を通じて地域の交流を図ってきたが、現在ではこうしたまとまりも陰をひそめているのが現状である。従って、氏神を載せた神輿を囃す役目でもあるお囃子にたずさわる人口が減少し、衰退の危機に直面している場所も少なくはない。また、地元のお囃子が特殊な存在で、社会的にあまり実用性のないものだと解釈している人もいるであろう。しかしながら、視点を変えればお囃子は世界に通用する日本古来の民俗芸能であり、隣の部落へ、隣の市へと足を踏み出すと、意外にも社会的に非常に有効なコミュニケーションのツールであることに気が付くものである。
  当フェスティバルのもう一つの大きな特徴は、参加団体を平塚市外からも公募している点にある。平塚市で伝承されているお囃子は、近隣の高座郡伊勢原市中郡秦野市厚木市などと歴史的な繋がりが確認されており、囃子のフレーズを聴くだけでも同系統の囃子であることがすぐに分かる。こういった歴史的背景のもとで市外の団体と交流を持つことは、市内の団体の刺激に繋がるだけではなく、平塚市以外の地域の活性化についても大きく貢献しているといえる。
  近年の都市化に伴う生活の多様化により、隣近所でさえコミュニケーションが希薄になり、最悪の場合は大きな犯罪にまで発展しかねない現状の中で、もういちど地域のあり方を見直し、神社祭礼を中心にまとめていくことは決して悪いことではないと思う。お囃子の練習をする際にうるさいという苦情によって、思ったように練習ができない地域などもあるが、地元自治会・太鼓連の努力や当フェスティバル実行委員会の熱意を理解していただき、平塚市全体が祭り囃子に理解を示し、平塚市の祭り囃子がよりいっそう発展することを期待したい。
                                (当サイト管理人より)

舞台発表(第1部)

  ここからは平成21年(2009年)に行われた第2回ひらつか囃子太鼓フェスティバルの様子を紹介する。13時から開会式が始まり、実行委員会の挨拶に続いて各団体の発表が行われた。各団体ともに楽器や曲目の構成に違いが見られ、平塚市内の祭り囃子を知ることができる。また、外部団体からの参加も公募しており、この年は伊勢原市から1団体が参加した。こうした他地域との交流もフェスティバルの見所の一つとなっている。以下にこの年の参加団体を発表順に記す。

  @本宿雅組(豊田)
  A博物館太鼓連(平塚市博物館) ※博物館公式ページへリンク
  B二十四軒町若宮囃子太鼓保存会(新宿)
  C南原太鼓の会(仮称)(南原)
  Dひらつか囃子太鼓フェスティバル実行委員会
  E笠窪祭囃子保存会(伊勢原市笠窪)
  F田村ばやし保存会(田村・上宿)

  次に舞台発表の様子を写真にて紹介する。

開会式実行委員会の挨拶
幕が上がり・・・本宿雅組からスタート
上部にはフェスティバルの看板続いて博物館太鼓連
3組目は二十四軒町若宮囃子笛が3本入る
合間に各団体の紹介4組目は南原太鼓の会
5組目はフェスティバル実行委員会笛のソロが聴かせる
6組目は笠窪祭囃子保存会めくりが入る
演奏が終わり笛の合図で一礼最後は田村ばやし保存会
こちらもめくりが入る少女達によるオカメの踊り


競合い(第2部)

  舞台発表が終わると場所を外にある浅間緑地へ移し、競合いが行われる。平成21年度は第1部で発表した田村ばやし保存会と笠窪祭囃子保存会以外の5団体に、豊田地区の豊中親和會を加えた6団体が参加した。この中でフェスティバル実行委員会の太鼓は一般に開放され、だれでも参加できるようになっている。なお、雨天の場合は舞台発表に引き続き、中央公民館のホールで競合いをやることになっている。

場所を浅間緑地に移し競合いスタート
博物館と二十四軒町豊田の本宿雅組と豊中
実行委員会の太鼓は一般開放南原も楽しんでます

  競合いは休憩を挟みながら行われ、途中で各団体の紹介演奏が1・2分程度で行われた。

二十四軒町若宮囃子博物館太鼓連
フェスティバル実行委員会豊中親和會
本宿雅組南原太鼓の会

  競合いの終盤に差しかかると、全団体が一つの輪になって競合いを行い、大変な賑わいの中で第2部は終了された。最後に閉会式が行われ、実行委員会の挨拶と三本締めでフェスティバルは終了する。
  競合いでは参加する団体の決まった位置はなく、自由に移動することも見所の一つとなっている。普段の神社祭礼においては付き合いのある団体同士の競合いしか見ることができないが、フェスティバルではその垣根を越えて、お互いの技量を試すことができるのが魅力となっている。今後は平塚市内だけではなく、同じ囃子の系統である秦野市や伊勢原市との競合いも見られるのではないか。また、今回は太鼓を専用の台に載せての叩き合いであったが、今後は各地区の山車を持ち寄った競合いも予想される。

豊中が本宿の正面に移動豊田対決ふたたび
そこへ実行委員会も乱入二十四軒町も参入
南原と博物館も加わり激しい競合い
最後に実行委員会の挨拶三本締めで無事閉会

  今回のフェスティバルの最後に、豊田の豊中親和會がなぜか締太鼓を締め始めた。どうやら、これ以上競りには使えず限界に達した革を締めて破ろうとしている。次第に糸目付近からチリチリと音が鳴り始め、ついに革が破れ胴がほとんど革から飛び出してしまった。ちなみに、破れた革は7年前の平成14年(2002年)の革である。豊田や近隣の中原は平塚市内でも特に革の消費量が多い地区で、毎年のように革を購入している。革を極限まで張るためには実際に革を破ることを経験していくことが必要で、その経験の中で革が破れる寸前のところを見極めるのである。祭り囃子の伝統においてこのような例は、全国的に見ても大変珍しいといえる。

豊中が太鼓を締め始める糸目付近が鳴いている
ボン!!!胴が完全に飛び出す

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